中小企業のAI導入、何にいくらかかるのか
AI導入の費用が「いくら」と言い切れない理由と、それでも目安になる費用の型を、当社が実際に出している価格で説明する。
この記事で分かること
AI導入にかかる費用が何で構成されているかを、当社が実際に提示している価格で説明する。
「AI導入 費用」で調べると、数万円から数千万円まで出てくる。幅が広すぎて判断材料にならない。この記事ではなぜ幅が出るのかと、自社の場合はどのあたりを見ればいいのかを整理する。
他社の導入金額は書かない。当社が確認を取っていない数字だからである。書くのは当社が実際に出している価格だけになる。
「いくらか」を答えられない理由
AI導入に定価がつきにくいのは、売っているものが商品ではなく対象業務だからである。
同じ「見積の自動化」でも、次のどちらかで作業量が変わる。
- 過去の見積がExcelで残っている会社
- 過去の見積が紙のファイルにしかない会社
後者は、電子化するところが最初の作業になる。AIの部分は同じでも、そこに至るまでの手間が違う。
だから最初に金額を出す会社があれば、何を対象にした金額なのかを聞いたほうがいい。対象業務を決めずに出た金額は、後から増えるか、範囲が狭いかのどちらかになりやすい。
当社が福井県内で現場訪問を無料にしているのは、この対象業務を決めるまでが見積の前提になるからである。
費用は3つに分かれる
金額の話をするときは、この3つを分けて考えると比較できるようになる。
1. 初期費用 — 作るものの代金。一度きり
2. 月額費用 — 動かし続けるための代金。毎月
3. 社内の人の時間 — 請求書には出てこないが、実際にかかる
3つ目を計算に入れていない見積は、後で足りなくなる。詳しくは最後の節に書く。
初期費用の目安(当社の価格)
当社が実際に出している価格を書く。他社の相場ではなく、当社の値段である。
- LP(ランディングページ)1枚 — 3万円から
- ホームページ制作 — 30万円から
- AI検索対策(GEO)まとめて — 12万円から
業務システムそのもの(見積の自動生成、問い合わせの一元化など)は、対象業務が決まってからの見積になる。上の表に入れていないのは、決まった型で作るものではないからである。
「から」と書いているのは、ページ数や機能で上がるためで、下限を安く見せる意図ではない。実際に3万円で納めたLPも、それより高い案件もある。
月額がかかるもの、かからないもの
ここは誤解が多い。AIを使えば月額が発生する、というものではない。
月額がかからないもの
- 作って納品して終わるもの(LP、ホームページ)
- 社内のパソコンで動かす仕組み
月額がかかるもの
- 外部のAIサービスを使い続けるもの(ChatGPTやClaudeのAPIなど、使った分だけ発生する)
- サーバーやデータベースを借り続けるもの
- 動き続けるものの保守(不具合対応、仕様変更)
月額が発生する場合、その中身が使用料なのか保守料なのかは分けて聞いたほうがいい。使用料は使う量で動くが、保守料は固定である。
当社が保守を受けている案件では、月額に何が含まれるかを契約時に文章で決めている。「何かあったら対応します」だけの取り決めは、後で双方が困る。
見落とされる3つ目の費用
一番大きいのに見積書に載らないのが、社内の人の時間である。
AI導入で必要になる社内作業には、次のようなものがある。
- 過去のデータを渡す(探す、まとめる、電子化する)
- 業務のやり方を説明する(今どうやっているかを言葉にする)
- 出てきたものを試す、直してほしい点を伝える
- 現場に使い方を伝える
このうち一番重いのは、たいてい業務のやり方を言葉にする作業になる。長くやっている業務ほど、手順が人の頭の中にあって書き出されていない。
ここを外注できると思っていると、話が進まなくなる。逆にここさえ出せれば、あとは作る側の仕事になる。
社長か、その業務を一番よく知っている人が、合計で数時間は関わる。この時間を確保できるかどうかが、実際には金額より効いてくる。
予算をいくらに置くか
「いくらかかるか」と「いくらまで出していいか」は別の問題である。
出していい金額の決め方は「AIに月いくらまで払っていいか——予算の決め方」に書いた。相場ではなく、削減できる人件費から逆算する考え方になる。
投資に見合うかどうかの計算は「AI導入の費用対効果、実際どう計算すればいいのか」にまとめている。
この記事はあくまで、請求される側の内訳の話である。
当社の場合
株式会社SHIKAKERUは福井市に本店を置いている。全国からオンラインで相談・診断・開発を受けているが、福井県と北陸地方は現場視察が無料である。その他の地域も、事前に費用を案内した上で訪問できる。
進め方は次のようになる。
1. 現場を見る、または話を聞く(福井県内は無料)
2. AI化する対象業務を決める
3. その範囲で見積を出す
4. 納得してから費用が発生する
向かないと判断した場合は、そのように伝える。AIを入れないほうが早い業務は実際にある。人が短時間で終えている作業を自動化しても、作る費用は回収できない。
何から手をつけるかは「福井の中小企業がAI導入で最初に考える3つ」、業務ごとの詰まり方は「見積書が遅くなる理由と、AIで自動化できる範囲」が近い。実際に作った例は「電気工事の見積をAIで作る、任せられる範囲」にある。
まとめ
AI導入の費用に定価がつきにくいのは、売っているものが商品ではなく対象業務だからである。金額を聞く前に、何を対象にした金額かを確かめたほうがいい。
費用は初期費用・月額費用・社内の人の時間の3つに分かれる。月額はどの案件でも発生するわけではなく、外部サービスを使い続ける場合と保守を受ける場合にかかる。使用料と保守料は分けて聞いたほうがいい。
一番見落とされるのは3つ目で、業務のやり方を言葉にする作業は外注できない。ここに数時間を出せるかどうかが、金額より先に効いてくる。
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