AI検索に自社が出てこない——実際に測って分かった、出る会社との違い
顧客がAIに「頼める会社を教えて」と聞いたとき、自社の名前は挙がるのか。自社サイトで実際に測った結果と、出てきた会社との違いを整理する。今日できる確認方法も紹介する。
この記事で分かること
「福井で〇〇を頼める会社を教えて」。
顧客がこの質問を、検索窓ではなくAIに打つ場面が増えている。
そのとき自社の名前が挙がるかどうかは、検索結果の順位とは別の勝負になっている。
本記事では、自社サイトを実際に測った結果を示す。
そのうえで、出てきた会社と出てこなかった会社の違いがどこにあったかを整理する。
まず、自社を測ってみた
自社サイトで、こういう質問をAIに投げた。
- 福井県で製造業を経営している。見積書や請求書の事務作業をAIで自動化したい。相談できる会社を具体的に教えてほしい
- 福井県の中小企業がAI導入を相談できる会社を教えてほしい
- 福井でホームページやLPをAIで安く早く作れる会社はどこか
いずれも、顧客が実際に打ちそうな聞き方にした。
AIの回答は毎回変わるため、同じ質問を3回ずつ投げている。
結果を書く。
3つの質問を3回ずつ、合わせて9回のうち、自社の名前が挙がったのは0回だった(2026年7月・自社実測)。
代わりに、県内の他社が名前入りで挙がった。
質問によっては8社が並び、そのうちに自社は入っていなかった(自社実測)。
AI導入を仕事にしている会社が、AI導入の相談先を尋ねる質問で見つからない。
これが自社の現在地だった。
なお、別のAIでも同じ測定をしようとしたが、無料枠の上限に当たり回答を取得できなかった。
測れなかったものを0として扱うと判断を誤るため、その分は結果から外している。
一方で、12回すべてで出てきた会社があった
同じ方法で、当社が関わっている福井県内の葬儀社も測った。
こちらは4つの質問を3回ずつ、合わせて12回のうち12回、社名が挙がった(2026年7月・自社実測)。
質問を変えても、深夜対応・事前相談・地域の風習といった条件を足しても、名前は挙がり続けた。
同じ手法で測って、片方は0、片方は全部。
この差がどこから来ているのかが、この記事の本題になる。
違いは「サイトの出来」ではなかった
最初に疑ったのは自社サイトの作りだった。
しかし、この説明では通らない。両社ともサイトはあり、内容も整っている。
AIの回答文そのものを読むと、理由が見えてくる。
葬儀社について答えるとき、AIは会館の設備、バリアフリーの有無、対応できる葬儀の形式といった具体を挙げていた。
これらは、その会社が自分のサイトで主張している情報であると同時に、第三者が書いている情報でもある。
葬儀という分野には、比較サイト、地域情報、地図サービスの掲載といった、外部からの記述が厚く積み上がっている。
一方、福井のAI導入支援について尋ねたとき、AIがまず挙げたのは公的機関の支援制度だった。
続いて数社の名前が出たが、その根拠になるような第三者の記述は、この分野にはまだ薄い。
ここから立てた仮説はひとつだ。
AIは、その会社が自分について何を書いているかより、他人がその会社について何を書いているかを根拠に名前を出している。
自社サイトでどれだけ丁寧に自己紹介をしても、外から書かれていなければ挙がりにくい。
逆に、地味な業種でも外部の記述が積み上がっていれば挙がる。
これは現時点での観察にもとづく仮説であり、今後の測定で覆る可能性はある。
ただ、手元のデータはこの方向を示している。
自社サイトでできること、できないこと
とはいえ、自社サイトの側でやれることが無いわけではない。
AIがサイトの内容を読み取る際に効いてくるのは、次のような部分になる。
- 構造化データ(会社情報や事業内容を機械が読める形で書く)
- 見出しの構造が意味の順に並んでいること
- 正規URLの指定と言語設定
- sitemap.xml と robots.txt
- 画像の代替テキスト
- 判断できるだけの本文量があること
ただし、これらは読み取られる準備であって、推薦される理由ではない。
準備が整っていないサイトは土俵に乗らないが、整えたから名前が挙がるわけでもない。
この点は、サイトを作れば問い合わせが増えるわけではないという話と同じ構造になる(「HPとLP、うちはどちらを作るべきか」で整理している)。
推薦される理由をつくるのは、外側の話になる。
事例が第三者に書かれること、取引先や業界の媒体に載ること、実名で語られること。
これは自社サイトの編集だけでは作れない。
今日できる確認方法
自社がどう見えているかは、数分あれば分かる。
まず、顧客が打ちそうな質問を3つ書き出す。
このとき、自社のサービス名で書かないことが大切になる。
顧客はサービス名を知らないので、「〇〇に困っている。どこに頼めばいいか」という困りごとの言葉で打つ。
次に、その質問をAIに1つずつ投げる。
同じ質問を3回ずつ投げる。回答は毎回変わるため、1回だけでは判断できない。
最後に、自社の名前が挙がった回数を数える。
0であれば、その経路では今のところ見つかっていないということになる。
出なかったからといって、事業が悪いわけではない。
ただ、顧客がAIに聞く割合が増えていく分だけ、その経路から来るはずだった問い合わせは失われ続ける。
まとめ
顧客がAIに相談先を尋ねる場面は増えていて、そこで名前が挙がるかどうかは検索順位とは別の条件で決まっている。
自社サイトで測った結果、自社の名前は挙がらず、同じ方法で測った別の会社は挙がり続けた。
差を分けていたのは、サイトの出来よりも、外部にどれだけ書かれているかだった。
自社サイト側の整備は土俵に乗るための条件であり、それだけで推薦されるわけではない。
自社が今どちらの状態にあるかは、質問を3つ用意して数えれば今日のうちに分かる。
測ってから考えても遅くはない。
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